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最近といっても2か月前ぐらいになってしまいますが。
短めに感想を書いていきます。
ナチュラルボーンチキン(金原 ひとみ)
この物語は、中年版『君たちはどう生きるか』です
「ナチュラルボーンチキン(金原ひとみ 著)」書籍帯より
「いつもと変わらない毎日」を送っていた女の人が、はっちゃけ系な年下の同僚と話すようになり、少しずつ人生がかわっていくお話。
出会う人がみんないいキャラしてます。「まさか」さんの得体の知れなさを知ってみて、人間味が溢れているなと感じるようになる関係値の変化がすごい良かったです。
不妊治療の話とかを出された時に、明かされる主人公の過去と、自分との共通点に驚き、グッと感情に引き寄せられる思いでした。
多くの人が公に発言することもなく、見えづらいところですしね。
夫にはわからない悩みとも一人で向き合い、負の感情だけが漂う出口の見えないトンネル。
基本的には、やりとりがあたたかい話なんですけど、狂気じみた部分もあり、それは人間として共感するところもあれば、いや、そうじゃないと思えるところもあって面白かったです。
「蛇にピアス」と同じ作者様ですが、読んだこと無かったのでこちらも読んでみたい。
正欲(朝井 リョウ)
話の構成が独特でした。結末から始まったあとに、3人の人生がそれぞれ別に描かれていき、点と点がつながったところで、結末に向けて集約されていく感じでした。
性やマイノリティに関することがでてくるので、読みづらい人は居ると思うけども、抵抗ないならぜひおすすめの一冊です。
るる実は抵抗ないわけではないが、読んでよかったなと思います。
大枠として性的マイノリティをベースに話が進んでいくけども、この本に関してはそもそも「人の気持ち」を考えてるかどうかってところにつながってると感じたからです。
いつでも多数派が「理解する立場」なのか。少数派は「理解される」のか。
理解される、理解する、もはや対等じゃない気すらしますよね。むずかしいんですけど。
終盤の方になるけども、とあるセリフと併せて、「風が吹いて髪の毛が斜線のように顔にかかっていく」という、状況と言葉選びのかけ合わせがすごく面白いとおもいました。(うろ覚えですみませんが…)
映画も見てみたいな―と思った。どのような表現になってるのだろう…。
ヘヴン(川上 未映子)
前回の感想で書いた、「黄色い家」の川上未映子さんの別の著書です。
黄色い家は未知の世界なようで、自分は結構よく読み進めていけたのですが、ヘヴンはきつかったですね。
2回ぐらい心折れたんですけど、なんとか読むことができました。
なんといっても学校のいじめの描写がたいへん細かく、表現も過激なため、嫌な気持ちになる予感があるかたはおすすめできないですが、弱さ・強さについて考えさせられる作品でした。
とにかくつらいシーンが多く、ほかの話が頭に入ってこない自分に対してもったいないと感じて、2回目を読んでみても良いかもしれないと思いました。覚悟の上で…。
成瀬は信じた道をいく(宮島 未奈)
続きモノ。成瀬シリーズです。こちらも読みやすくて良かった。
今回も面白くて、成瀬の周りの人の視点からの描写が面白かったですね。特に、一緒に観光大使をやったみゆきからの視点。
初対面の成瀬の言動に戸惑っているみゆきの心理描写を見たとき、成瀬の独特な雰囲気を、前作でわかってた読者側からすると「成瀬はこうなんだよ」と謎の友達ヅラしてしまうような感じでした(笑)
ラストは新規の登場人物全員と読者が成瀬にぶん振り回されて、いいところに着地する、気持ちいい終わり方でした。愛すべきお騒がせですね。
このぐらいでした。
また読んだら書きますね。